木屋元町の「生物多様性センター」が天然記念物のイタセンパラを栃木県の水族館に貸し出してる。出発式やセンター内の展示物を見てきた

大阪府立環境農林水産総合研究所生物多様性センター(寝屋川市木屋元町)が国の天然記念物に指定されている淡水魚・イタセンパラを栃木県の水族館「なかがわ水遊園」に貸し出しました。

※屋内展示されているイタセンパラ

生物多様性センターが1972年から飼育しているイタセンパラの一部を関東地方の人にも見てもらおうと国の許可を得て企画されたもので、なかがわ水遊園20周年記念企画展において7月20日から8月31日まで展示されます。

なかがわ水遊園へ貸し出すにあたり、7月19日(月)にセンター内で出発式が行われました。

場所はイタセンパラなどがいるビオトープ前です。

なかがわ水遊園と生物多様性センターの代表がそれぞれ挨拶します。

挨拶によると貸し出し先の「なかがわ水遊園」(公式ホームページ)は国内でも珍しい淡水魚の水族館で、那珂川などの川魚を多数展示しているのだとか。

イタセンパラ(コイ科タナゴ亜科)は淀川水系・濃尾平野・富山平野に分布している絶滅危惧種です。

イタセンパラの貸し出しは実物を見る機会を作るだけでなく、イタセンパラを脅かす要因(外来種の侵入など)や産学官民が連携した野生復帰に向けた努力などを併せて知ってもらうことで、広く生物多様性を考えるきっかけになることを期待しているそうです。

挨拶が終わると、水槽に入ったイタセンパラ6匹が「なかがわ水遊園」の方に渡されました。

イタセンパラは貸し出した後もセンター内にたくさんいるようです。イタセンパラ以外の展示も充実しているということなので、センターの中を見学しました。

センターの入口は、国道1号線(寝屋川バイパス)木屋元町交差点の西側にあります。

右側にあるのが「コイの池」です。コイの餌やり体験も可能です。

「コイの池」や駐車場の奥にあるのが「水辺の植物園」です。

絶滅が心配される水生植物をウッドデッキから観察できます。植えられていたのはヒメガマやイグサ、ワンドスゲなどです。それぞれの水生植物に説明板があり、希少性が伝わってきます。

続いて一番奥にあるのがビオトープ池です。

天然記念物のイタセンパラのほか、様々な水辺の生き物が生息しています。地上にはトンボやコサギなども寄り付くようです。寝屋川市にこのような場所があるとは驚きですね。

続いて建物の中を見ていきたいと思います。

受付で来場人数などを書きますが、無記名のアンケートなので気軽に来場できます。

その先にある常設展示エリアは、淡水魚などの生物やパネルが展示されています。

真ん中の大きな水槽には川魚が。

一番大きな魚はワタカと言うそうです。どうやって維持管理するのか気になって職員さんに質問したところ、人間が水槽の中に入って掃除するのだとか。なんだか水族館みたいです。

奥の水槽はイタセンパラのものです。イタセンパラは緩やかな流れを好む性質があります。

淀川では「城北わんど」(大阪市旭区)で野生復帰の取り組みが行われていて、確認されたイタセンパラの数は年々増加しているそうです。

常設の展示エリアではイノシシやタヌキ、アライグマの剥製も展示されていて、農林についても学べるようです。

周囲の壁に設置されたパネルには、河川の上流〜中流〜下流、湿地、田んぼ・水路、都市公園、里山・雑木林などの場所に分けて展示されていて分かりやすいです。

左側の企画展示エリアは、生物多様性に関する企画展が行われています。

パネルが部屋をぐるり。

パネルは植物園や動物園のものをはじめとして、ハウスメーカーのような民間企業のものもあり、興味深かったです。

テーブルの上には昆虫の標本のようなものが。

業界紙の配布も充実していました。

同センター内の展示物は自由に見学できます。建物の中には研修室があり、生物多様性に関する研修プログラム(見学・講義等)も行っているとのこと。(団体見学及び研修・講義依頼については、事前申込みが必要です。詳しい情報は大阪府立環境農林水産総合研究所の公式ホームページをご覧ください。)

関心のある方は、ぜひ一度訪問してみてください。

【地図】

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