宇谷町に2020年4月にオープンした「SINKO AIR DESIGN STUDIO」(通称:エアスタ)をこのほど見学してきました。
エアスタは業務用空調機器で国内シェア首位を誇る「新晃工業」(本社:大阪市北区、公式ホームページ)が開設した空調設備のショールームです。建物全体がショールーム化されて「空調を感じ、気づき、学ぶ」ことができるのが特徴です。
一般消費者向けの公開はしていません(対企業の会社のため)が、4月に完成したのをお伝えした縁もあり、館内を特別に見学させていただけることになりました!
エアスタの場所は、万代寝屋川宇谷町店やバロー・ナフコツーワンスタイルの裏側です。
府道18号枚方交野寝屋川線からアクセスすると、万代の前を右に曲がり、
春に完成したばかりなので建物が綺麗です。
予約した時間に訪れると、案内役の社員の方が出迎えてくれました。今回は案内役の方の説明を聞きながら展示スペースを回る90分コースを体験します。(全館を回る120分コースも選べます。)
最初に説明を受けたのは、玄関ロビーに展示されている工場生産型初号機です。これは1957年に新晃工業が日本で初めて製造したエアハンドリングユニットのレプリカだそうです。
エアハンドリングユニットとは、エアフィルター、熱交換器、加湿器、送風機などを収めた一体型の空気調和機のことです。エアコンの普及率が低かった1950年代からこのような物を製造しているとは、驚きですね。
地上3階建ての館内を移動します。ガラス張りの館内は開放感があります。
最初に入室した部屋で、案内員の方から空調調和(空気の温度、湿度、清浄度、気流分布などの条件を室内の人間あるいは物品に対して最も良い条件に保つこと)などについて説明を受けました。
空調システムのカテゴリーには個別空調(個別熱源)とセントラル空調(中央熱源)の2種類があり、同社は建物毎に熱源機器、空調機器を設置し、冷温水(水)を介して空調する「セントラル空調」を手掛けているということでした。(フィルタ、コイル、加湿器などの種類についても説明がありましたが、後ほど実物を見ながら説明します。)
部屋の外に出ると、廊下のスペースに同社の年表(上段:会社、中段:製品、下段:世界)を紹介する「SINKO History」が飾られていました。納入先は東京スカイツリー、あべのハルカス、中部国際空港、マリーナベイサンズ(シンガポールの超高層ビル)など大規模な施設が並び、さすが業務用空調機器国内シェアトップの会社です。
続いて「Wecome Theater」(高さ3m×幅11mのラウンド型巨大スクリーン)で同社の紹介映像を視聴しました。「1つ1つオーダーメイドで最適な空気を作る」「機械メーカーだが、空調機を作ることが仕事ではない。空気をデザインするエアデザインカンパニーである」というセリフが印象的でした。
続いて各種空調機器やパーツを展示した 製品・部品ゾーンを見学します。
各フロアの天井には色分けされた配管やダクトが並び、水や空気、冷媒の流れを可視化しています。ビルの天井を開ければこのような配管が通っているということですね~。
手をかざすと風が吹き出す穴が設けられており、過程や配管によって空気の質が異なるのを体感できました。
隣にあるのは天井昇降式の体感ルーム「Air Experience」です。取材時には2つの部屋が湿度30%と60%に設定されていました。両方の部屋に入ることにより、同じ温度(28℃)でも空気質が異なるのが体感できる仕掛けです。
天井の高さや吹き出し口の形状を変えることができるのは、実際に設置する環境に近い状態を作り出すため。なかなかのこだわりです。
フィルタで空気中のゴミを取り、コイル(水用、蒸気用の2種類)で温度、加湿器で湿度を調節。
ファン(シロッコファン、プラグファンの2種類に大別されます)で風を送るという流れです。
他にも稼働部品ゾーンに様々な部品が展示されていたのですが、専門的な内容になるので写真を中心にお伝えいたします。
普段は機械室の中に設置されている空調機器がガラス越しに見られるのが興味深いです。
床下を流れる空気を目視できる仕掛けもありました。
これらの空調機器の運転状態は「IoT監視システム」でクラウドを通して確認できます。
昔は点検する人が現地に行って確認する必要がありましたが、このシステムにより複数の物件の運転状況をインターネット上で確認できます。異常を検知したり、部品の寿命が近づいたりしている状況も一目で分かる優れ物です。
空調機器も時代とともに変化しているのですね。
稼働製品ゾーンは、屋上にもありました。実際にこのビルの空調を行っているということなので、見ごたえがありましたよ。
最後に講演会やイベントなどを行うための部屋「Air Lab」でアンケートを書いて見学は終了です。
新晃工業は業務用の空調機器の会社なので一般消費者には馴染みが薄いかもしれませんが、エアスタでは将来的に地域の人や小学生などへの公開も検討しているとのこと。
【地図】